まず、奈良県の地図を見てください。北西部に県全体の人口の9割が密集する奈良盆地(大和平野)がありますが、それ以外のほとんどは山間地です。
この地理的環境を活かした教育活動を進めていく必要があります。
奈良県の面積の58.9%は、学校教育上の「へき地」です。これは、全国へき地教育研究連盟に加盟している小学校・中学校・義務教育学校の学校区の合計です。ここで暮らす人口は、奈良県全体の1.6%にあたる21,279(2020年国勢調査)です。学校統廃合の影響や、市町まるごと非加盟の自治体もありますので、実際にはもっと値は大きくなります。
「へき地」は、都市部から離れた山間地や離島などのことを指します。奈良県には海がないので、山間地とほぼ同義です。へき地は、もともと僻地と書きます。差別用語のようにも見えるかもしれませんが、1954年に制定された「へき地教育振興法」のもと、多様な地域からなる日本の国土全域の義務教育をよりよくしていく工夫が積み重ねられてきました。教育以外に、へき地医療という分野も存在します。「へき地」という言葉に、積極的なイメージをつけていきたいものですね。
・へき地教育の振興(文部科学省)
・へき地教育振興法(e-Gov法令検索)
現在、奈良県のうち、全国へき地教育研究連盟に加盟している学校の校区は、下記の通りです。
・奈良県に12ある村のうち明日香村を除く11村。 黒滝村 天川村 野迫川村 十津川村 下北山村 上北山村 川上村 東吉野村 曽爾村 御杖村 山添村
・奈良市のうち旧月ヶ瀬村・旧都祁村の区域。
これら以外にも、統廃合でなくなってしまったへき地学校は多数あります。たとえば、2005年まであった大塔村・西吉野村は五條市に合併しましたが、その後に旧村域から小学校も中学校もなくなりました。
また、全国へき地教育研究連盟に加盟していない小規模校も多数あります。日本全国の人口が減少している中、奈良盆地にも小規模校が増えています。
地域創生(地域づくり、地方創生)やESD(持続可能な開発のための教育)、子育て環境の充実、個別最適な学び、ICT活用、環境保全、都市農村交流、自然の中での暮らしの営みの持続といった観点からも、それらを先導し支えるへき地・小規模校教育はとても大切な存在です。